ドローンの運用中に、機体が突如ATTIモードへ移行し水平方向の位置補正ができなくなり、風によって流されることがあります。
比較的操縦者との距離が近い場合や、機首方向が正面を向いているなど対処しやすい状況であればまだよいですが、目視外飛行中や風速が強い状況でATTIモードに移行すると事故の可能性も非常に高くなってしまいます。
国土交通省 航空局では、国家ライセンス制度ができる前からATTIモードへ移行したときにマニュアル操作でドローンのコントロールができることを操縦者のスキルとして求めています。
また、安全を確保するために必要な体制として風速5m/s以上の状態では飛行させないことになっています。(製造者等が定める取扱説明書で飛行可能であることを確認している場合を除く)
万が一、ATTIモードに移行し、秒速で5mで機体が流されていくということを考えると個人的には風速5m/sでも恐ろしいと思います。
講習会などでは、意図的にATTIモードへ切り替えを行いトレーニングを行うことがありますが、予めATTIモードだとわかっていて操縦するのと、突如ATTIモードへ移行するのでは焦りの度合いも違うのではないでしょうか。
今回は、機体がATTIモードへ移行する条件を再確認し、少しでも事故の可能性を下げることを考えてみたいと思います。
青森ドローンスクールで所有している機体の取扱い説明書を見てみますと…
機体は通常、GNSS(GPSなど)と下方ビジョンシステムを利用して、機体自身の位置を測位し安定化していますが、この下方ビジョンシステムが利用できないか無効になっている場合、かつGNSS信号が弱いかコンパスが干渉を受けている場合、機体は自動的にATTIモードに切り替わることが記載されています。
GNSSとビジョンシステムの他に、コンパスが正常であることも必要条件になっていることがわかります。
飛行前に行う点検項目と照らし合わせると
① GNSSの受信状況の確認(屋内では基本的に受信しません)
② ビジョンシステムが機能するための周囲の明るさのチェック、ビジョンシステムの物理的な汚れのチェック
③ コンパスの状態のチェック(必要に応じてキャリブレーションの実施)
をしっかりと行うことがATTIモードへ移行する可能性を下げることに繋がります。
また、これからの季節では屋外での飛行中に機体に虫などが付着し、カメラやビジョンセンサーが汚れてしまうこともありますので飛行後の汚れのチェックも確実に実施したい項目です。

DJI Mini3の下方ビジョンセンサー:小さいので少しの汚れで覆われてしまうことも…

DJI Mavic3の下方ビジョンセンサー:レンズに手が触れて指紋などが付着しないようにも注意したいところ
以前のブログで修了審査で点検が大事!とありましたが、実運用でも点検は大事!です。
飛行前、飛行後の点検を徹底し、少しでもATTIモードに移行する可能性をさげましょう。
また、運用中どのような場面でATTIモードに移行しやすいかを考えてみますと、
① 橋の下や山岳地帯、高層ビルの隙間など、GNSSの受信数が減ってしまうような環境
② 夜間や低照度環境下でビジョンセンサーが地表の模様を認識できない場合や水面や真っ白な雪原、単色の床など、特徴のない(コントラストが低い)地表の上を飛行した場合
③ 砂塵や霧など、ビジョンセンサーが正常に機能しない環境下
④ 高圧電線、鉄塔、鉄筋コンクリートの建物など、強い磁気を発生する構造物の近くでコンパスが正常に機能しない場合
などが考えられます。
どのような場面で移行しやすいかを理解し、「突如」を「予め想定している」にすることでATTIモード移行時に落ち着いて対処したいものです。
今回は、機体がATTIモードへ移行する条件について再確認をしてみました。
少しでも事故の可能性を下げることへ繋がってくれたらと思います。
